自治体DXに必要なデータ連携基盤について

国は、都市OS(データ連携基盤)の導⼊数を2019年度末時点の13地域から2025年度までに100地域にすることを目標に促進しています。

データ連携基盤には、スマートシティのデータやサービスをつなぐという重要な役割があり、オープンソースのプラットフォームである FIWAREを中心に世界中の様々な都市で実証実験が行われています。

デジタル庁が重視する「地域間連携」

一方、令和4年2月24日デジタル田園都市国家構想実現会議(第4回)で発表された「データ連携基盤の整備について」資料でデジタル庁はコアとなる部品を「無償で」提供しつつ、一元的なデータ連携基盤の整備を促していくとしました。

令和4年度から開始されるデジタル庁の「デジタル田園都市交付金」は各自治体に対してこのコア部品をもとにしたデータ連携基盤構築を財政的に支援するとしています。

地域ごとに複数の異なる方式が乱立する事態を避け、エリア間でも容易にデータの連携・接続ができる、一元的なデータ連携基盤の整備を即していく。

出典:デジタル田園都市国家構想実現会議(第4回)で発表された「データ連携基盤の整備について」 牧島大臣提出資料
出典:デジタル田園都市国家構想実現会議(第4回)で発表された「データ連携基盤の整備について」 牧島大臣提出資料https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai4/siryou8.pdf

デジタル庁は、政府が整備を進めてきたスマートシティのアーキテクチャに基づき、データ連携基盤のコアとなる部品、データ仲介機能(ブローカー)を令和3年度内に開発。関係企業・団体が共同で普及管理団体を設立し、その無償提供と活用に関する助言を進めることで、各地域による一元的なデータ連携基盤の構築を支援。

出典:同上
出典:同上

自治体DXに「地域間連携」重視だけで良いのか

『デジタル田園都市では「データの創成」→「データの連携」→「データの活用」のサイクルの好循環が必要』として、デジタル庁はまずはじめにデータの創成を目的に「①各地域におけるデータの創成を支援する仕組みを整備」のための「デジタル田園都市交付金TYPE1」を2022/02/08から募集開始しました。

このTYPE1では補助金対象が「優良なモデル・サービスを活用した実装の取組」に限定され、「新しいシステムやアプリケーションの開発」は対象外ですが、結果的に予想を大幅に超える多くの申請が来たと聞いています。

TYPE2/3の募集時期や内容は執筆時現在明らかになっていませんが、TYPE1募集時の制度概要資料には「(TYPE2は)データ連携基盤(デジタル庁の提供するもの又は海外や他地域で実証/実装実績あるもので事前にデジタル庁と調整済のもの)を活用し、複数のサービス提供事業者が同基盤上でサービス提供する予定があること。」とあり、既にデジタル庁の息のかかったものしか認めないということのようです。

Type1(スターター):地域の個性を活かし、まずはデジタルの効果を実感できるサービスを地域・暮らしに実装する取組み
Type2(プレイヤー):オープンなデータ連携基盤を活用し、複数のサービスの連携にも取り組むもの
Type3(リーダー) :Type2要件を満たし、かつ、サービスの一部を令和4年度の極力早期に実現できるもの

出典:同上 デジタル田園都市交付金の種類

このデジタル田園都市交付金の制度では、デジタル庁が推進する「データ連携基盤」=「地域間連携」は補助対象ですが、自治体DXを推進する上で欠かせない『自治体職員や開発者が「データを管理し標準化するツール」や「自治体内で実装された先端サービスから生成されたデータを連携して活用するためのデータ連携基盤」』についてはどうなるのでしょう。

TYPE1では「①各地域におけるデータの創成を支援する仕組みを整備」とありますが、自治体職員がデータを管理し連携するツールや業務フローが無い中で「優良なモデル・サービスを活用した実装の取組」をやることになります。データはシステムだけが創るものではなく職員を始めとした人や業務フローも整って初めて利活用できるものになるので実はここに問題があるのですが、この点については別の機会にお伝えします。

ではデジタル庁が構築を推進する「データ連携基盤」が実装できれば「各地域におけるデータの創成を支援する」ことが可能なのでしょうか。

データ連携基盤で採用されるNGSI規格APIのメリットとデメリット

NGSI規格APIは「実世界の様々な状況で発⽣するコンテキストデータを統⼀して扱えるように国際標準規格化されているもの」なので異なる地域の異なるデータ連携基盤で生成されたデータも効率的に連携できるというメリットがあります。

一般的なJSON形式ヘッダが大きくデータ転送量も大きくなるので日々の自治体サービスに利用するには扱いにくいというデメリットもあります。

自治体DXに最も重要なのはサービス提供主体の自治体職員が管理しているデータをオープンに活用できるようにすることと、サービス受益者の住民の生活が便利になることです。そのために地域間連携が必要の無いデータについてはNGSI規格ではなく一般的に広く使われるJSON形式のWEB APIでという使い分けと、自治体職員のデータ管理の標準化が必要になり、この方法の一例としての取り組みを紹介していきます。

作成者: sgoto

スマートシティ開発コンサルタント&データサイエンティスト